2022年6月3日金曜日

『彼女たちの流儀』 内容を含む感想

 ”バカ”

”姉弟だからいいんじゃない”

”あなたが好き、だよ、胡太郎”


Twitterでかのぎを紹介していただきました。感謝します。


総評

異種族恋愛,インモラル,近親相姦を含むエロゲとしてエロ,シナリオ共に楽しめる名作。特に鳥羽莉√には心を強く揺さぶられグロッキーになった。最悪の気分が味わえて最高。個別√の長さや月の箱庭から鳥羽莉がメインヒロインのエロゲといっても過言ではない。

未プレイの方は最高の姉白銀鳥羽莉の物語をぜひ味わって欲しい。ブラウザバック。


雑記

・秋名涼月

涼月が男を嫌い人間を嫌い永遠に焦がれ危うさを覗かせる理由が語られた。

こたろーくんと方向性は異なるが同じきょうだいと爛れた関係にある境遇だからこそ嫌悪を抱いていたことが分かった。同族嫌悪。

夕焼けを背にした1枚絵。秋(名)は夕暮れって感じ。


・由希せせり

鶏。

ほかに比べてあっさり終わった友達以上恋人未満END。

時代を先どる僕っ子。

おまけ√感が強い。

後でも語るが家族関係の掘り下げを期待していたので少し物足りない。


・弓曳火乃果

唐突な厚生労働省職員COなどこの世界における国と吸血鬼の関係について明らかになる√。

吸血鬼の満月に恋をして禁忌を犯して亡くなった火乃果の父親から胡太郎くんが鳥羽莉を幸せにする可能性を匂わせる。

家令でメイドで天才だが恋愛に不慣れで可愛い。まだ10代。


・花葉千佐都

好きだからこそ見える視点で吐き出すように思いを打ち明ける強さが良かった。

涼月やせせりと同じくおまけ√感。

千佐都√でこたろーくんにキスする鳥羽莉の姿が切ない。


・白銀朱音

吸血鬼であることを喜ぶ朱音は苦悩する鳥羽莉とは対照的に映る。

劇で鳥羽莉と入れ替わるシーンでは胡太郎に看破される。愛だね。

血を吸うことで相手の思考や記憶を読むことができることが明らかになるが作中ではあまり活かされていなかった。

朱音√で告白する鳥羽莉の姿が痛々しい。


・白銀鳥羽莉

このエロゲのメインヒロイン。

鳥羽莉√を見る前と見た後では他の√における鳥羽莉の見え方が大きく異なってしまう。

FripSideが手掛けるOP曲「Red -reduction division-」も彼女のことを歌っているのだろう。名曲。

一見冷静沈着で達観した天才美少女で非の打ちどころがないように見えるが,その心は吸血鬼として永遠に生きねばならないことに苦悩する難儀な姉。

永遠のほとんどない世界でこたろーの変わらぬ愛を信じることは難しく,愛しているが故に孤独を選ぶ女の子。

"姉弟だからいいのよ"というセリフから家族であるから本気の恋愛ではないことにしたり,食餌だから本気の愛ではないセックスだということにして自分の気持ちをごまかしている。いじらしい。

朱音の執筆した演劇「月の箱庭」をこたろーくんとの最後の思い出にしてロンドンへ立つ予定なんですって。そんなのってないよ・・・。

演劇のシーンはぼろぼろ泣いた。

劇中のキャラを演じている建前があるからこそ本心で語り合うことが叶う2人の姿に限界。

こたろーの熱い想いに応えてキスする2人の姿が最高だった。


このエロゲの凄い所は2人が結ばれた後が描かれる所にあると思う。

こたろー視点の地の文から鳥羽莉視点の地の文に変わり,鳥羽莉の苦悩が語られる。永遠を生きる鳥羽莉と人故にいつか死ぬ運命である胡太郎と共に生きることは,いつか胡太郎の心が変わってしまうかもしれない疑心や胡太郎を唐突に失ってしまう不安と戦うことであり,胡太郎との電話で不安に怯える鳥羽莉の姿に胸が苦しくなった。

戦うか孤独でいるか悩んだ果てに彼女が選んだ流儀はそのどちらでもなく,自分を忘却させることであった。

ラストシーンでは胡太郎と再会し5年と15年の思いを打ち明け再度戦うことを選ぶ鳥羽莉。告白する鳥羽莉は最高に愛おしく可愛かったが,彼女に恋する自分としてはきっと彼女はこの先も苦悩しながら共に生きていくのだと苦しくなった。

終わりを迎えたプレイヤーにできることは鳥羽莉の幸せを祈ることしかない。

こんな不安になるラストある?って感じ。メンタルヘラヘラでした。


・月の箱庭

このエロゲに関わったエラい人が鳥羽莉√のあまりの切なさに耐え兼ねて「なんでもいいから鳥羽莉を幸せにしろ!!」って指示したと言われても驚かない。

正直ご都合展開はあまり好まないけど今回は例外。

鳥羽莉が幸せそうで本当によかった・・・。


・各家庭について

白銀家の両親,満月,せせりの家族,涼月の兄,火乃香の父などの人間関係をもう少し掘り下げて描写して欲しいと思った。欲張りかも?