2021年5月18日火曜日

『アクタージュ』全12巻(未完)の感想・甲 ネタバレ有

2部構成の感想です。こちらではネタバレを含む作品の内容に関する感想になります。


12巻まで読んだ感想として、ずっと面白かったです。

シナリオをざっくりまとめると、メソッド演技(役柄を演じるために感情と呼応する自らの過去を追体験する演技法)という諸刃の刃で非凡な才能を発揮する主人公の夜凪景が、さまざまな人と出会い役者として、人として成長していく話です。

専門的な知識を持ち合わせていなくとも、登場するキャラクターの表情やセリフから練度の高い芝居をしていると思わせる丁寧な描写があり知識のなさは全く気になりませんでした。感覚としては囲碁を知らなくても楽しめるヒカルの碁みたいな面白さを感じます。題材は役者、演技ですがメインで描かれているのは主人公を軸にしたヒューマンドラマで万人受けしやすい内容だと思います。

作品通して魅力に感じたのは作中のお芝居の内容が夜凪景(たち)が今まさに体験しているリアルの事情と関連してることでした。お芝居でありながらお芝居でない、リアルと演技が混ざり合っていて説得力が凄かったです。(語彙力の喪失)


主人公に限らず魅力的なキャラクターの多い作品でした。

・心を壊したことで変わってしまった元女優の社長星アリサ。

・1本の映画のために70億人からたった一人を探す映画監督黒山墨字。

・主人公と対極的な計算された言動で観客を魅了するスターズの天使桃城千世子。

・主人公と似た演技を行う独特な感性を持つ舞台役者明神阿良也。

・自らの死の体感を語ることで演出する演劇界の重鎮巌裕次郎。

・羅刹女の感情の底上げに爆弾を投下する小説家山之上花子。


特に印象に残ったシーンを1つあげるなら10巻のsence88.俺の定義の夜凪景の羅刹女は感情を強く揺さぶられました。ああ、夜凪景のことが好きになってるなって思いました。

仕事の昼休憩に読むものじゃなかったと涙目になりながら思ったのは今から8時間前のこと。

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