"桜小路を陽が照らす"
"ありがとうございますお優しいルナ様"
『月に寄りそう乙女の作法』
点数:66点
(1)シナリオ:14/30点
・あらすじ
日本の財界を代表する華麗なる一族大蔵家に妾の子として生を受けた主人公"大蔵遊星"。生まれ故に大蔵家からは疎ましく思われ籠の中の鳥として人並みの夢や希望とは無縁の暮らしを余儀なくされる。
生きる希望を与えてくれた尊敬するデザイナーの"ジャン・ピエール・スタンレー"が理事長を務める服飾専修機関「フィリア女学院」が日本に創立されるにあたり、どうしてもジャンの学校で服飾を学びたい遊星は名もなき庶民"小倉朝日"と身分を偽り、頭脳明晰だが性格に難がある女の子"桜小路ルナ"に仕えるメイドとして、彼女の住まう桜屋敷で働きながら学園に潜入することになる。
桜屋敷ではルナに縁のある個性的なお嬢様方、お嬢様付きの従者たちが遊星(=朝日)の生活を引っ掻き回す。
果たして彼(=彼女)は素性を偽ったまま、屋敷と学園の二重生活を無事にすごすことができるのか。
あらすじここまで。
・良かった点
りそなをいじめから救うために家族との約束を破り屋根裏部屋から抜け出し"女の子を泣かせていいのは結婚式の時だけ"と言う遊星。好き。
良くしてくれるお嬢様方に対して性別を偽り続けなければいけないことに罪の意識を感じるが、それでもジャンの学校で学ぶことを優先する所に遊星の意思の強さが感じられた。
朝日とルナがいちゃつくシーンはどれも良かった。熱い愛の言葉送り合い。
朝日とルナの距離が近付いていく様は素晴らしい。
衣遠が登場するシーンは緊張感があった。
全体的にギャグシーンが面白い。
章のタイトルが秀逸。もっと主張してもいいくらいだと思った。
・気になった点
遊星とルナが共に抱えるそれぞれの家族の問題にもっと触れて欲しかった。
ジャンと遊星の絡みがもっと欲しかった。
衣遠と遊星の母親の間に何があったのか描いて欲しかった。これについては月に寄
りそう乙女の作法0に期待。
BADエンドで朝日がいなくなった後の桜屋敷の描写が欲しかった。
冒頭の強盗のシーンでなぜ衣遠とジャンが遊星を救うことができたのか説明が欲しかった。
全ての個別√において男バレしたあとの瑞穂が思いの外寛容だった。
・本作に期待していた展開
1.女装がバレた後の周囲の反応:〇
遊星が積み上げた徳の賜物だと思うしかなかった。もう少し描写が欲しい。
男嫌いの瑞穂とその従者北斗はもっと拒絶するものだと思っていたので解釈違い。
ルナ√は良かったのでトータルで〇。
2.遊星がルナに仕えることを幸せだと自覚するか:〇
ルナ√で主従関係を望む場合は良かったので〇。
他√触れられなかったのが残念だが仕方ない気もする。
3.遊星と各ヒロインが抱える家族の問題にスポットが当たるか:△
遊星:衣遠との絡みに緊張感があるのは良かったが、衣遠の遊星に対する言動の意図が不明瞭。衣遠の弁から遊星に怒りを感じていたことは分かったが理由は描かれず。掘り下げて欲しかった。衣遠に散々な目に合わせられるが最後まで反抗しない所か感謝しているのは理解できず。
ルナ:両親との確執について進展しないまま終わってしまったのが残念。口では吹っ切れているように語るが実際は気にしてクワルツ賞を辞退したり、盗作問題で動揺することからルナは本当は両親と距離を縮めたいのではないかと思ったが本編では描かれずafterは中途半端で物足りなかった。
ユーシェ:ユーシェに男を触れさせてはいけないとはなんだったのか。大蔵家のネームパワーで簡単に交際が認められてしまった印象。
瑞穂:他3人に比べると良かった気がする。特出して言うことはなし。
湊:湊家が追い込まれる理由がしょうもなく感じられてしまい楽しめず。
4.遊星の夢の行方→△
生きる希望を与えてくれたはずのジャンとの絡みがほとんどない。
ジャンが遊星にどのような思いを抱いているのか不明瞭。
プロローグが面白く感じ先の展開に期待していただけに残念。
ルナ、ユーシェ√ではパタンナーとして服飾の道をまっすぐ歩むが、瑞穂、湊√では服飾以外の道へ寄り道をする。服飾よりも彼女を大切にしたいということだと受け取ったがハッキリとその意思を伝える強いシーンが欲しかった。
(2)キャラクター:15/20点
・良かった点
遊星、ルナ、衣遠、りそな、七愛がお気に入り。
遊星→健気で可愛い、やる時はやる、一家に一人欲しいハイスペックメイド
ルナ→S気のある達観美少女、カリスマ
衣遠→ハイパーブラコンツンデレお兄様
りそな→ウルトラブラコン妹
七愛→愛が重い、思考が穏やかじゃない、殺意の全てを隠さずぶつける
・気になった点
ユーシェの瑞穂に対するデブいじりが多く酷い。2人の従者をケンカさせたい意図は分かるけど回数が多すぎる。
(3)音楽:15/20点
・良かった点
DESIREは今でもヘビーローテション。
主要人物のテーマもキャラクターの性格を反映したような曲調で好み。
オープニングムービーのワクワク感〇。
気に入ったBGMは以下。
乙女理論とその周辺
放課後キャットウォーク
令嬢疾駆
桜小路を陽が照らす
月見桜
(4)キャラクターボイス:8/10点
・良かった点
主人公にボイスがついている。
卯衣さんの落ち着いた声。
月乃和留都さんの朝日と遊星の演じ分け。
(5)回想シーン:7/10点
・良かった点
ルナのギャップ。
朝日の合意の下で行われる羞恥プレイ。
(6)演出:7/10点
・良かった点
会話の最中でキャラクターの表情が細かく変化する。
ヒロインによるシステムボイス。
総評
良くも悪くもキャラゲーという印象。
ルナの性格が気に入るならまず楽しめると思う。
遊星とルナが特に魅力で彼らが絡むシーンは比較的面白い。
好みは主従√。
彼ら以外のシーンが良くなかったかというとそういうわけではないけれど、ルナ√は気合いを入れて作られてるように感じる。次点で良かったのはユーシェ√。
大泣きしたシーンはなかったが、ジーンとするシーンはある。
主人公がヒロインに犯されるシーンが回想シーンの中では一番良かった。
各ヒロインの家庭の問題の掘り下げを期待していたが大蔵の威光が強くて思っていたよりもあっさり。
でもルナ様が最高に可愛いのでOKです。トータルとしては楽しめました。
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