2019年1月18日金曜日

力は持つと使わずにはいられない

美容院に行って髪を短くしてもらった。
鬱陶しいほど伸びていた前髪やもみあげや襟足の毛がキレイさっぱり短くなり大変過ごしやすい。ヘルメットをかぶり前髪をかき上げる時間が消滅したのも大きい。


カットをお願いするにあたり強い拘りのない自分は指名をしない。毎回予約を行った日に勤務される美容師の誰かに髪を切られる。

一通り注文を伝えた後にいつもの髪に関する質問が始まる。
自分は簡単に、そっけなくはならない程度に答える。
いくつかの質問に答えた後は、僕の意思を察した美容師は黙々とカットを行い、自分は目の前の情報雑誌を読み始める。いつもの流れだ。


お店が込み始め、隣のスペースに他のお客が案内される。
自分と同じような髪の質問が終わると、隣りの客と美容師はインフルエンザの話をし始めた。インフルエンザが流行する時期になってきたこと。隣りの客の家族がインフルエンザにかかってしまったこと。面倒を見るために好きな歌手のライブに行けなくなってしまったこと。自分ではどうしてもキャンセルの最終確認ボタンが押せず、娘に押してもらったこと。
自分は情報誌に目を通しながら聞いていた。自分の髪を切っている美容師も聞いていたかもしれない。

仕事の都合上肉体的距離が近くなってしまう美容師という職業は頭髪を整えるだけでなく、お客さんに気まずい思いや不快感や不安感を持たせないよう配慮されている。
BARのマスターがその日に出会った人の思い出、愚痴、相談事、嬉しかったことを離されたり、酒についての質問されたりするのと同じだろう。

髪を切り、切られながら会話を楽しむ人たちがいて、自分みたいな黙々とした人たちがいる。喋ることで落ち着く人、喋らないことで落ち着く人のどちらも対応される美容師の方々は接客のプロだ。
美容師は会話をすることに長けている。しかし自分みたいな人を相手には会話を避ける。

自分はどうだろう。
目的を忘れ自己満足のために人より長けていることを人に押しつけていないだろうか、とシャンプーで髪を洗われながら考える。

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